サモアの東大
久々に(初めて?)仕事の話。
協力隊では、職種ごとに隊員を募集します。
看護師、歯科衛生士などの医療系、サッカー、柔道などのスポーツ系、野菜栽培、稲作栽培などの農業系etc.、多ジャンルに亘って様々あるので、誰でも何かしら当てはまるものがありそうです。
私の場合は、電子工学。
案件も応募者も少ないレア職種ですが、「手に職系」技術は途上国で人気があります。
タンザニアでもそうでしたが、日本人で電子工学と言うと、すぐ「TVは直せるか?」「冷蔵庫は直せるか?」等、会う人会う人みんな聞いてきます。
あわよくばタダで直してもらおうと。笑
ま、直せるものなら直しますが、最近の電子機器は集積度が高くて、直せないことのほうが多いです。
村ステイ中もTVをバラしましたが、一部が完全に焼損してしまっていて、どうしようもありませんでした。
(余談)
日本の修理業界も、個々の部品を換えるのではなく、基板だとかユニットで交換してしまいます。
そのほうが結局早くて安いというのもありますが、実際ハンダごてで付け外しができなかったりするので。
話を戻して。
私の要請は「サモア唯一の国立大学でロボット工学コースの立ち上げを~」という内容でした。
それって日本で言えば東大じゃないですか!
もちろん東大には至らないまでも、なかなかレベル高そうですよね。
↓サモアの東大!?
...いざ来てみると。
ロボット工学コースなんて立ち上げようがないなぁ...というのが正直な感想。
実は、応募前からちょっと怪しく思っていたんです。
というのも、電子工学にしてもロボット工学にしても、日本だと工学部、もしくは理工学部で扱う内容ですが、サモア大学には理学部しかないんです。
理学部の下にある学科も、理学科、数学科、コンピュータ学科。
で、私の配属先は、理学部コンピュータ学科。
授業内容は、Javaプログラミング、MS Officeの使い方、シスアド基礎etc.という感じ。
えーと...日本の大学とは大きく異なり、まず研究機関ではありません。
そして、教育機関ではあるのですが、学問というよりも職業訓練にかなり近いイメージ。
実際、コースの内容などは、NZなど海外で働く卒業生からの声で決まるそうです。
でもまぁ、これくらいは想定内。
肝心の工学系は?と言うと。
ロボット工学に必要な4つの柱=機械工学、電子工学、制御工学、プログラミング、どれひとつ教えられる人がいません。
「プログラミング」という授業はありますが、Javaのみ。
CやC++を教えられる(知っている)先生はいないんです。
だから私(電子工学)一人が来たところで...というのが本音です。
肝心のニーズも、本当にあるのか非常に疑わしいです。
学科長も「プログラミングの講義を持ってほしいのよねー」なんて言ってるし。汗
じゃ、どこから「ロボット工学」なんて話が出たか。
私の大学が主催で、ロボコン的なことを去年、一昨年、開催したそうです。
ただ、ウチの学生は参加せず、他校が参加したのですが...。
ロボコンって言っても、NHK的なヤツを想像してはいけません。
スターターキットみたいな、ちょっと改造もできますよ、くらいのロボットを買ってきて。
プログラムも、命令ユニットをつないで各数値を決めるだけ、みたいなソフトで組んで。
しかも操作はリモコンで!
...それってロボットじゃなくてラジコンでは。汗
正直、ここでも電子工学の出る幕はありません。
そんな中、割と電子工学に近そうな「コンピュータ・ハードウェア」という講義があると言うので、とりあえず見学すると。
週に2回2時間ずつのはずが、この2週間は
小テスト前の復習(1時間足らず)
小テストの準備ができていないから休講
小テスト
なんだかよく分からないけど休講
と、ほぼ稼動していない状態。
うーん、サモアの東大がこれでいいのか?
後期からこの講義の続編を持つことになりそうですが...。
講義の内容も、各講師たちがかなり自由に決めているそうなので、非常に悩ましいです。
むしろ小学校や中学校のほうが、文科省や教委から指導要領的なものが発行されていて、「×年生の△学期は○○と~~を教える」ということが一応なり決まっているので、まだちゃんとしている気がします。
実際、タンザニアの技術セカンダリ(高専みたいな学校)で電磁気学を教えてた時のほうが、周りもよっぽどしっかりしてたぞ、と。
生活はかなり楽しいですが、仕事的にはなかなか前途多難なスタートです。笑
↓今日も客船が!またCunard。ホントよく来る。(バス窓から)