Notes in Apia

常夏の島サモアで暮らす、青年海外協力隊員の覚え書き

「頑張って」はネガティブワード

青年海外協力隊は、派遣国に赴任する前に、国内で3ヶ月弱の訓練生活があります。

今は駒ヶ根と二本松に訓練所があるのですが、いずれも山の中。

途上国の擬似経験が目的か?と思うほど、なかなか不便な環境です。笑

 

ちなみに、訓練所は派遣国によって決まるので、自分では選べません。

両方を経験した私ですが、どちらにも良し悪しがあるので、どっちがいいとは言えません。

それぞれ、どっちも楽しかった!自分次第!!;-)

 

訓練所では、名前順にグルーピングされた、10~20名弱の生活班が決められます。

生活班は寝食など一番プライベートに近い時間を共にするせいか、同じ派遣国の仲間や語学クラスとはまた違って、家族・兄弟のような、不思議な絆が生まれます。

12年前に3ヶ月一緒だっただけの班メンバーも、いまだに付き合いがあったり、他の友人とは違った、ある種特別な関係です。

同期で付き合ったり結婚したりも、生活班が同じ、というケースが一番多いように感じます。

 

そんな生活班のメンバー(今回の同期)が、療養のため、日本に一時帰国することになったと連絡がありました。

病気だったりケガだったり精神的なものだったり、理由は様々ですが、そんなにレアではありません。

前回の参加時も、班のメンバーやタンザニア同期が一時帰国していました。

 

そこで、班でお見舞いの寄せ書きを作ろう!という企画が上がりました。

最近は何でもネットでできるので非常に便利ですね。

世界中に散らばった班のメンバーですが、LINEで連絡があって、WEBで寄せ書き。

あっという間に半分以上からメッセージが書き込まれました。

みんなの温かさが伝わって、自分のことじゃないのに感動します。涙

 

...ちょっと話は変わって、ようやく本題。

そんな時に、何気なく書きがち/言いがちなのが「頑張って」。

最近は「鬱の人に"頑張って"はNGワード」などのセオリーが浸透しているためか、そこまで安直に使われることはなくなってきたのかもしれませんが。

一昔前はいつでもどこでも何にでも、とにかく「頑張って」でした。

J-POPもそんな歌詞ばっかりの時期がありましたねー。

我々協力隊員も、派遣前にそれはもう数え切れないほどの「頑張って」を言われました。

 

日常的にも

「今日試験なんだ」「頑張って」

「今日面接なんだ」「頑張って」

「今日試合なんだ」「頑張って」

「今日デートなんだ」「頑張って」etc.etc.

山ほど言ったり言われたりですよね。

 

え?別におかしくないじゃん?と思った方。

ちょっと考え直したほうがいいかもしれません。

 

そもそも「頑張る」は、どちらかと言うとネガティブワードです。

だって「頑なに」「張る」ですよ?

全然ポジティブな響きがない。笑

 

冗談はさておき、辞書を引いても

「我意を張り通す」

「どこまでも忍耐して努力する」

「ある場所を占めて動かない」

とあります(広辞苑 第五版)。

 

Googleでも「忍耐して、努力しとおす」「ゆずらず強く主張し通す」です。

 

...こう見ると、「頑固」にも通じる感じで、いいイメージじゃないですよね?

少なくとも、自分で決めて好きなことをしようとしている人(協力隊員とか)に言う言葉ではないかと。

※あ、「頑張る」は当て字で、「我に張る」が由来という説があるとか。

 

海外生活の経験がある人や、外国人の友達がいる人。

「頑張って」を英語で言いたくて困った経験がきっとあると思います。

と言うのも、直訳でピッタリくる表現がないから。

それって「頑張って」が実は元々、ネガティブだからなんじゃないかと思います。

 

じゃ、英語圏の人は実際なんて言うか。

「今日試験なんだ」「Take it easy!」

「今日面接なんだ」「Good luck!」

「今日試合なんだ」「Do your best!」

「今日デートなんだ」「Enjoy!」

私が実際に聞いたことあるのは、こんな感じでしょうか。

つい使ってしまう日本語の「頑張って」も、こういう意味ですよね?

 

が!

辞書的には「頑張って」に、これらの意味はありません。

ま、言葉は時代とともに変わるものではありますが。

 

...であれば。

安直に「頑張って」ではなく、「楽しんでね」とか「リラックスして」とかのほうが、ポジティブな意味がストレートに伝わっていいな、と。

 

ということで、私はあるときから「頑張って」をやめました。

それはあるアーティストとの出来事が発端なのですが...長くなるので、またいずれ。笑