Notes in Apia

常夏の島サモアで暮らす、青年海外協力隊員の覚え書き

サモアの中心でマザボを焼く

昨日、「自分のMacBook Proが起動しなくなったけど直したよ」と書きました。

が!

直ったと思ったのは束の間。

またすぐ調子が悪くなりました。

 

ということで、「サモアの中心で~」シリーズ3作目。 シリーズだったのかよ!?笑

サモアの中心でカツオを叩く

サモアの中心でマグロを握る」に続き...

なんと今回は「サモアの中心でマザボを焼く」です。orz

 

えーと...マザボっていうのは「マザーボード」。

パソコンの中のメイン基板のことです。

これを「焼く」。

えぇ、文字通りオーブンで焼きましたよ、というお話です。汗

 ※この記事の真似して失敗しても、もちろん責任取りませんよー。自己責任でどうぞ!

 

発生した症状

調子が悪くなった、とは具体的に...

 1) FHDのムービーを再生すると盛大なブロックノイズ→電源断

 2) 起動するも画面が縞模様

 3) 起動シーケンス中に画面がブツ切れ表示に→電源断→再起動を繰り返す

 

1)→3)と、どんどん症状が進みました。

この時点でだいぶ嫌な予感です。

これ、ソフトじゃなくてハードが原因だよね...。

 

試しにセーフモード(Win)で起動してみると、画面が荒れながらもちゃんと起動。

でもふつうに起動しようとすると、3)の状態に。

はい、これGPU周りです!

実際、すぐバラしてみると、GPUが熱い熱い。

起動→電源断の十数秒だけでこんなに熱くなる!?ってくらい。

 

MacBook Pro(Early 2011)のGPUトラブルは有名?で。

ちょっと調べると、いまだに山ほど情報が出てきます。

...って、あれ?

たしかリコール出て、マザーボード交換してもらった気がするんだけど...。

ま、それでもダメってことは、設計か製造に真の原因があるんでしょう。

 

原因と対策

ファン掃除&ヒートグリスを塗り直したばかり、ってことは放熱の問題じゃない。

多分、ハンダクラックです。

...なんて書くと、扱いが荒いから?なんて思う人もいるかもしれませんが。

むしろ衝撃でハンダを割るのは意外と大変です。

実際には、湿度と温度。

湿気を吸ったり、熱で伸縮、なんてことが繰り返されると割れます。

ね?「湿度と温度」って言ったらサモアじゃん?笑

 ...半分冗談です。サモアは暑いけど寒暖差はないので。

 

で。

昔の牧歌的な基板だと、パターンもハンダも見えるんですが。

最近のPCとかスマホとか集積度が超高い基板だと、見えもしません。

チップ部品も0603(0.6x0.3mm)とか、ピンセットでもつまめないよ!ってサイズですし。

CPUとかGPUみたいな足がたくさんあるICは、BGAって実装方式でハンダ接合が部品の下にあるので、まったく手が出せません。

人の手でどうにかできる時代はとっくの昔に終わってるんです...。

 

じゃ、どうするの?

外から全体にガッツリ熱を加えるんです。

そうすると、ハンダがちょっと溶けて→また固まるので割れが直る、と。

 

実際の生産でも、基板に部品を実装するのはそういう方法で。

非常に荒っぽく言うと、

 基板にクリームハンダを塗る→部品を接着→焼く→ハンダが部品と基板を繋ぐ

です。

これを「リフロー」なんて言いますが。

私は設計者であって製造のプロではないのでこのくらいで...。汗

 

で、まぁこれを素人が自宅でやろうとすると。

「オーブンで焼く」ってことになる訳ですね。

 

事前準備

いや、ためらいはありました。もちろん。

ただ、放っておいて直るものではないし。

自分のPCが使えないのは、まさしく死活問題。

かと言って、サモアで新しいPC買うなんてなぁ。選択肢ないし。高いし。

何より、「動かない後悔より、動いた後の後悔のほうが何倍もマシ」です。笑

 

ということで、バラします。

マザーボードだけにする必要があるので、いつもより余計にバラします。

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小さいですねー。

いまだに現役で使えるハイパワーPCも、裸にするとこんなもんです。

 

これ焼いて、プラスチック溶けないの?って思いますよね。

が、上に書いたとおり、生産工程でもふつうに焼くくらいなので。

ハンダで付いている部品のプラは、耐熱と思って間違いありません。

今回の場合、メモリソケット(写真右下)だけ、外れないけど少し気になったので...

こうしました↓

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アルミホイルで包んだだけなので、ただの気休めです。笑

 

で、オーブンを予熱!

と言っても、我が家のガスオーブン、温度設定なんてありません。汗

1~5の5段階なので、まずは4で予熱しました。

 

...って言うか。

マザーボードをオーブンで焼いて修理」って話を検索すると。

「~℃で~分」とか出てきますが。

...全部嘘っぱちです!!!

「ハンダの溶ける温度が~℃だから」とか、それらしく書いてあったりしますが。

そもそも、オーブンの温度設定にそこまで精度がありませんよ、と。

 

大体、そんな簡単にリフローの温度や時間が設定できるなんて、ホントに素人考え。

実際の工場でも、製造のプロが何度もトライ&エラーを繰り返して設定するんです。

「a℃でプリヒートして、b分かけてc℃まで上げてそこでd分、e分かけてf℃に落とす」

とか、それもすごい精度の下で。

それ知ってたら、「家庭用のオーブンで予熱~度で~分」なんて鼻で笑っちゃう。

基板アセンブリのプロの皆様に失礼です!

 

いざ、オーブンへ

じゃ、何が適切なの?

個人的に思うコツとしては、「高温短時間より、中温中時間」です。

ハンダごてを考えると逆ですが。

基板全体に熱を加える際は、急な温度変化は避けたほうが良さそうだな、と。

かと言って、低温長時間だと内部のハンダが溶けなさそうだし。

ということで、オーブンを3に落として3分焼いてみました。

 ...単純に経験と勘です。論理的な根拠なし!笑

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で、次が肝心。

焼きあがった後、すぐに触っちゃいけません。

オーブンの扉を少し開けて、ゆっくり室温に戻します。

 それにしても、オーブンで何か焼いて、こんなにワクワクしないの初めてだな...。汗

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素手で触っても、熱くも温かくもないくらいまで放っておいて...

いざ組み上げ!!!

 

結果

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...写真一枚で十分ですね。

完全復活!です。今度こそ。

リアルに「チィーーーホーーーゥ!!!」って出ました。人生初。笑

七三くらいの確率で失敗すると思ってたので。

しかも!

調子悪かったUSB端子が復活したり、思わぬ副次効果も!!嬉

 

ま、おそらく恒久的な効果はなく。

きっとその内に調子悪くなると思いますが。

「また焼けばいいんでしょー?」とちょっと気が楽になりました。笑

 

帰国まで残り9ヶ月弱!頑張れMacBook Pro!!

 

↓祝杯をなんと「一番搾り」で!こんな時に呑まずにいつ呑む!?

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久しぶりに呑んだけど、めっちゃくちゃ!!!おいしいなぁ、やっぱり。

ちなみに355mlでWST5.5(≒248円)。

...って、あれ?日本で350ml缶って、コンビニだと230円くらいしなかったっけ?

なんでサモアで輸入したのとほぼ同額なんだよー。

ただでさえサモアン・タラなんて超弱い通貨なのに。

日本の酒税のバカ高さだよなぁ...。