Notes in Apia

常夏の島サモアで暮らす、青年海外協力隊員の覚え書き

日本で協力隊経験は評価されません。

今日はGood Friday。

キリスト教の祝日です。

イースター前後の金曜日と月曜日は祝日で、学校、店やバスなどが軒並み休みです。

日本だとイースターエッグくらいしか馴染みがないかもしれませんが、サモアのようなクリスチャン国家では、けっこう大きなイベントです。

ふだんは土日も開いている、大学の校門も外資系のスーパーも閉まっていたり、いつもの日曜以上に休みモード。

 

が、サモア隊員的には、帰国する隊員の送別会でした。

「え?また?」なんて思うかもしれませんが、今回はイレギュラー。

通常2年間の任期を短縮して帰国する隊員もいるんです。

 

しかも、さらにイレギュラーなことに、この隊員は元々バングラデシュ隊員。

そもそもはバングラデシュに派遣されたのですが、赴任して4ヶ月程度で、情勢の悪化により、日本に一時帰国。

その後、情勢の回復が見込めないので、バングラデシュにいた隊員は、サモアを含め、ベリーズタンザニアなど、地域を問わず世界中に再派遣されるという、割とレアなケースです。

 

JICAとしては隊員の安全が最優先なので、治安が悪化した際など、一時帰国や任地変更、任国変更が時々起こり得ます。

最近だとバングラデシュの他には、シリア、エチオピアジンバブエなどでしょうか。

12年前も、同期のタイ隊員が赴任直前に予定の任地で暴動があって任地変更になったり、タンザニアでも選挙の直前に派遣された隊員が一時、任地変更になったり。

必ずしも派遣国・派遣先で2年間の任期を全うできるとは限らないわけです。

 

そして、任期の短縮。

協力隊業界?では略して「任短(にんたん)」と言いますが、予定の任期よりも早く帰国することもあります。

これは任国やJICAの事情ではなく、個人の都合や希望によるものです。

家の都合で、

体調不良/ケガ/精神的に病んで、

どうしても任国でうまくいかなくて、etc.

理由は様々ですが、自ら決めて帰国する人もいます。

 

今回のケースでは、海外の学校に進学するため。

語学の勉強のため早めに渡航したいから、ちょっとだけ任期を短縮して帰国します、と。

 

...こう書くと、中には「ボランティアと言いながら、日本の税金で行ってるのにけしからん!」なんて人もいるかもしれません。

が。

個人的には、そんなこと言わずに許してよ。むしろ、応援してあげてよ。と思います。

と言うのは、「協力隊経験は日本ではまったくと言っていいほど評価されない」からです。

 

大事なことなのでもう一度書きます。

「日本では、協力隊経験はまったくと言っていいほど評価されません」

むしろマイナス評価のことのほうが多いかも?くらい。

 

個人的な感覚では、民間企業をランダムに100社集めたら、99社はゼロ~マイナス評価でしょう。

1社、もしくは2社プラスに評価してくれれば御の字、くらい。

ボランティア活動自体が一般的ではない上、2年間ともなると「仕事もせずにフラフラしてたんでしょ」感が強いようです。

うーん、文化とは言え、日本の価値観の狭さを表すようで何とも...。

 

私は2回目の協力隊参加ですが、「なんで1回行ったのに、また行くの?」みたいな聞き方を本当にたくさんされました。

協力隊参加を思い出作りとでも思ってるんでしょうか。汗

もちろん休職した会社でも、プラス査定には絶対になりません。

むしろ完全なるマイナス。

出世コースから一度外れた上に、さらにもう一度外れた、遠く遠く離れた存在です。

昇進を望むなら、協力隊なんか参加しちゃダメですよー。笑

 

...話を戻すと。

新卒だろうと、仕事を辞めて参加だろうと、協力隊員の帰国後は、なかなか思うような職を得ることが難しいのが現実です。

もちろん、手に職がある人が多いので、その技術を買われる、という意味では引く手数多なんですが。

協力隊経験を評価されて、というケースは、非常に少ないように感じます。

 

JICAとしても、それは十分分かっているので。

帰国隊員の就職については割と丁寧にフォローしており、その数少ない「ボランティア経験を評価する就職先」を斡旋してくれます。

そういう意味では、ただ就職先を探すよりは手厚いのですが。

それにしたって、希望と合致する就職先がそんなにあるはずもなく。

私の周辺では、ボランティア経験とは関係ない職や、経験を評価されたわけではない職に就いた人がほとんどです。

 

もちろん、協力隊参加をきっかけに、国際協力や途上国支援の方向に舵を切る人もいます。

JICA関係、大使館、NGO、開発コンサルタント等々。

帰国隊員を訓練所のスタッフなどとして契約する、JOCAなんて組織もあって、その後、各国のJICA事務所で働く(これも契約)なんて道もあります。

 

進学もそのひとつで、ボランティア経験を基に、開発学や国際経済学などを修めに行ったり。

正直これも日本では盛んとは言い難いので、イギリスなど海外の学校に留学するケースが多いですね。

これらはまさしく「協力隊経験を直接活かせる」ケースなので。

世界や日本のためになる、と思って、ぜひ応援してあげてください。

 

...あ、また赤裸々シリーズになってしまった。笑