協力隊生活で最大のリスク
ずっと気にはなってましたが。
3ヶ月も放置したのはさすがに初めてです。
前回「止める時はちゃんと宣言する」なんて書いたが故に気が緩んだか?汗
...でもアクセス数は更新しなくても変わらず。
と言っても、問答無用のダントツ記事は「断酒してみた。その効果は?」で。
サモアも協力隊もまったく関係ねぇ~~~涙笑
言い訳「日本ってすごいよね」
いや、日本って忙しいですよね。
ただでさえ自他共に認める「ヤバい仕事量」な上。
ギターもベースもドラムもカホンもパンデイロも練習したいし。
映画も観たいし音楽も聴きたいし料理もしたいしお酒も呑みたいし。
ジョギングして筋トレして自転車乗ってボルダリングして泳ぎにも行きたいし。
英語力も落としたくないし新しいことも勉強したいし。
そしてもちろん睡眠はしっかり取りたい。
やらなきゃいけないこともやりたいことも盛りだくさん過ぎて、全っ然回ってない。
まさに貧乏性。笑
途上国生活はやれることが制限される代わりに、やる時間がたくさんあって。
日本はやれることが無限か!?って感じるくらいだけど、やる時間がめちゃ少ない。
なんかお金と時間の関係みたい。
ま、そんな環境なので、どうしてもブログか後回しになっちゃってます...。
最悪の出来事
それでも久々にブログを書く訳。
もうひと月以上前になりますが、最悪の出来事が起きたからです。
2回の協力隊、訓練も入れて期間は4年半、最初の参加からは15年弱になりますが。
その私の協力隊経験で、掛け値なしに「最悪」です。
サモアの後輩隊員が交通事故に遭いました。
仕事からの帰りに乗っていたバスが事故ったとか。
意識不明のまま日本に緊急搬送されたそうで、命こそ取り留めましたが、今も入院中です。
体は少しずつ回復しているようですが、脳へのダメージが大きく、片目が開かず目も動かない(当然見えない)とのこと。
今も記憶が混濁したり、急に立っていられなくなる危険性もあるとか。
...20代の女の子です。
本当にすごく真面目で何事にも一生懸命な子で。
真剣にサモアと向き合い続けて、ちょっと疲れちゃって一時帰国して。
リフレッシュして、さぁこれから残りの活動期間を!って矢先に。
本人はとても気丈に前向きに、回復したらまたサモアに!とも言っていますが。
心の中では、どんなに不安で辛くて悲しくて悔しいだろう。
私は1年だけ重なって、山下達郎好きや沖縄繋がりで仲良くしてもらったに過ぎません。
が、それでも、この何ともやるせない気持ち、怒りや悲しみや悔しさの入り混じった、どこにもぶつけられない感情をまったく消化できずにいます。
本人やご家族の気持ちは、きっといくら想像しても足りないくらいに違いありません。
日本と言わず、世界中の医学を結集して、完全に回復させてください。
神様なんて信じてませんが、もしいるならこんな時くらい役に立ってみせろよ!!
協力隊史上最悪の出来事
と呼ばれる交通事故は、前回の派遣国タンザニアで起きました。
マラウィから任国外旅行してきた隊員6名が一度に亡くなりました。
私の赴任する何年か前なので、もちろんどなたも面識はありません。
が、前回の派遣前訓練では、ご遺族が講話される機会があって。
もう流す涙もないくらい憔悴しながらも「あなたたちは必ず無事に帰ってきてください」と語った姿が今も心に焼き付いています。
現地には石碑が建てられ、命日にはJICAタンザニア職員や隊員が献花に訪れます。
私の任地からは1,000km以上離れていたので、命日に訪れたことはありませんが。
現地に行くと「なぜここで?」と、まったく理解できないくらい「事故が起きそうにない」場所です。
何もない平原の一本道がごく緩くカーブしているだけ、という印象でした。
逆に、そんな場所だからこそ油断して居眠りでもして事故を起こしたのでしょう。
事故を起こしたのは、もちろん隊員ではなく、バスのドライバーです。
協力隊員の活動期間中の死因1位
は、もちろん交通事故です。
マラリア、デング熱、チクングニア、西ナイル熱etc. etc.の病気の罹患率は高いです。
でも日頃から栄養を摂っていて、医療を受けられる隊員が死ぬことはまずありません。
と言って、ナメちゃいけない病気であることは言うまでもありませんが...
対して、交通事故。
訪れたことがある人は分かると思いますが、たいていの途上国は交通マナーが激悪。
アホみたいにスピード出すし、信号無視するし、割り込むし、無理やり追い抜くし。
道路状態も悪いし、信号や横断歩道の整備も悪い。ましてや歩道橋や地下道なんて。
さらに医療。
救急車がすぐに来て病院にもすぐ運ばれる、そんな場所を探すほうが難しい。
都市部は渋滞だらけだし、高度な医療ができる病院も超希少。
地方に行けば、救急車自体がないor超遠くにいる、もちろん病院はもっと希少。
事故に遭ってしまったら、命があっただけで幸運なくらいかもしれません。
交通事故を避けるために
そんな協力隊員は、基本的に車もバイクも自転車も運転NGです。
自動車は完全NG(最近シニアもNGになったはず)。
バイクは活動で必要な場合のみ、かつ地域限定の許可制(JICA本部判断だったかと)。
自転車も許可制(現地JICA事務所判断のはず)。
つまり、タクシーか公共交通機関、もしくは同僚や家族の車に同乗しかできません。
大昔は隊員も自動車OKだったそうですが、様々なリスクを勘案した結果、現在の「とにかく車両の運転はNG」に至ったのだと思います。
中には「周りもみんなしてるから」ってノリで飲酒運転してしまう隊員もいたでしょうし、自損はともかく、万が一現地の人を事故に巻き込んでしまったら、国際問題になりかねません。
国や地域によっては、その場でリンチにあって殺されてしまう可能性だって低くありません(ホントに)。
ということで、「車両運転NG」になったのは理解できるんです。頭では。
が!
それって裏を返せば「交通事故は運を天に任せるしかない」ってことになりませんか?
自分で運転するなら、衝突安全性の高い車や安全装備の充実した車を選ぶとか、走行ルートや時間帯を考えるとか、いろいろ工夫できます。
でも公共交通機関しか使えないとなると、選択肢がありません。
国内事前訓練では「危なそうなバスには乗るな、途中でも降りろ」とか言われますが。
どんだけ現実離れしてんだよ!って感じです。
例えば1日に1本しかない路線で、そんなことできますか?と。
代わりに飛行機を使えとでも?誰が払ってくれるんでしょう。
ちなみにこれ↓、私が人生で乗った中で、一番ボロのバスです。外装はきれい?
↓運転席はこれです。アクセルなんて棒ですよ、棒。よく走るな。笑
朝5時に出発する、その日一本だけのバス。
なかなかエンジンがかからなくて、薄暗がりの中、村人が総出で押し掛け。
メインストリートを3往復くらいして、やっとエンジンがかかりました。
しかもラジエータからは常にもうもうと湯気が立ち込め、バス内はサウナ状態。
沢や川があるたびに車掌が水を汲みに降りて、ラジエータに入れながらの走行でした。
↓これは別の話ですが、雨季にはこうなる道路(幹線道路)だってあります。
この時もみんなで泥だらけになりながら、バスを押して通り抜けました。
これらはもちろん日常ではありません。
が、こういった状況を選ばざるを得ないことがあるのも事実。
タンザニアでもサモアでも、日常的に乗るバスの運転が荒くて、すごく嫌でした。
スマホいじりながらとか、電話しながら運転なんて当たり前だし。
今だって、いつ事故ってもおかしくない。
しかも隊員には、そのリスクを低減するためにできることがほとんどない。
...と考えると。
自動車運転OKにして、自己責任の比率を高めるほうがまだいいような気もします。
自分ではどうにもコントロールできない状況で事故に遭ってしまうより。
自分の油断や間違いで事故っちゃったほうが、まだ諦めもつくと言うか...。
もちろん自車だろうが、もらい事故はありますが、現状では「事故に遭わないように気を付けようがない」のをもうちょっと真剣に考えてほしいなぁ。
ねぇ、JICAさん。