サモア人の光と闇
サモア在住1年を過ぎたので。
今回はサモア人についてまとめてみます。
もちろん前々回の内容(分かった気にならない)を踏まえつつ。笑
前提
これまでに何回も書いていますが。
まず、サモア人はめちゃくちゃ優しいです。
困っていると(いや、困ってなくても笑)必ず誰かが助けてくれます。
家族がとにかく第一で、次に同じ村、もちろん他の人にも優しいって感じ。
さらに、明るくて冗談好きで、社交的でのんびりした性格です。
悪口を言ったり、イライラしたり怒ったりすることは少ないと感じます。
…もちろん例外はいますが、平均値を出せるとするなら、基本的にこんな傾向かと。
途上国でよくある、「中国人!」と言われて石を投げられたり、なんてこともサモアではほぼ皆無です(少なくとも私の経験では)。
ということで、サモア人の長所は散々書いてきたので、今回は短所に注目します。
長所は短所
ま、長所は短所でもある、とよく言いますが、サモア人も例外ではなく。
サモアでは、こちらも誰かを助けるのは当たり前です。
具体的に言うと、モノの共有。
オセアニア島嶼地域の文化として有名ですが、何でも共有します。
もちろん個人の所有物という概念もありますが、比較的薄いかな、と。
美しい?例を挙げると、学校で生徒の一人が定規がない!と。
そしたら隣の生徒が、コレ使えよ、と、自分の定規を真っ二つに割って一方を差し出す。驚
今日はかけっこなのに、靴がない!
じゃ、貸すよ、と2人で片足ずつ履いて走る、とか。(順番に両足履いたほうがいいんじゃ?笑)
なので、例えばペンを貸すと返ってきません。
USBケーブルとかコップ、スプーン、醤油、小さいものは何でもそうです。
干しておいたTシャツやラバラバ(腰巻布)を勝手に使われてた!なんて人も。
もちろん、お金も…ね。
でも「盗む」とか悪意がある訳ではないのがポイントで。
「何でも共有する」ことに違和感がないと言うか、ハードルが低いと言うか。
そもそも「元に戻す」という観念があまりないようです。
これは途上国あるあるかもしれませんが、何かを使った後、元に戻さないんですよね。
で、次に使うときに「ない!」と。
でも、その辺のものを借りて(勝手に、だったり)何とかしてしまう、の繰り返し。笑
私有や整頓というコンセプトは先進国の証なのかもしれません。
また、家族第一主義は「家族のため(という名目)なら、何でもOK」を意味します。
医者でも先生でも公務員でも、どんな仕事であれ平気で欠勤/遅刻/早退したり。笑
冗談好きでのんびりしている、は裏を返せば、真面目な時間があまりない、です。
仕事に集中してる姿や、何かが時間通りに動くのは激レア。
…いや、大家が雇ってる庭師やお手伝いさんはそうでもないな。
ホワイトカラーほどサボりがちなのは、どの国・社会でも同じなのか??
建前と本音
日本は建前社会で、自分の本当の気持ちが抑圧されてるなんて言いますが。
実はサモアは、それに輪をかけた建前&抑圧社会かもしれません。
なんと言っても、人口20万人(海外在住者を入れても、その倍くらい)。
ということで、国全体が村社会です。
どこかで悪いことをすれば、あっという間に国中に広まります。
冗談じゃなく、間に一人二人挟めば、誰にでも繋がるような人間関係の狭さです。
しかも、生活形態自体もマタイ制、つまり村社会。
NZなどに逃げようにも、何か後ろ盾がないと行きようがない訳で。
各国&地域のサモア人コミュニティに悪い評判が回ったらおしまいです。
誰かの悪口を言ったり、意地悪したり、「しない」と言うより「できない」のかも。
実際、とても仲のいいサモア人がたまーに漏らす本音を聞くと。
「全然働かないヤツとか、すごい嫌いなヤツでも、家族や同じ村だと助けなきゃいけない。何のために働いてるのか分からなくなる。正直アホらしい」
なんてことを言ったりします。
外国人である私にだからこそ言える、心の奥底の声なんだと思います...。
酔うと人が変わったように怒りやすくなる人がいたり、金曜夜のバーで喧嘩が絶えないのは、ふだんの抑圧の結果なのかと。
そして、楽園のような南の島には似つかわしくありませんが…。
実は自殺も多いんだとか。
上に書いたように、「村から外れてしまう」=「生きる希望がなくなる」ようです。
親にガッツリ怒られて、「出て行け!」なんて言われようものなら。
いい大人でも割とすぐ自殺を選んでしまうんだとか。
日本は人口も多いし、ある程度の広さがあるので、一旦リセットしてどこかでやり直し、なんてことも考えられますが。
国全体が1つの村のようなサモアでは、大きな失敗をしてしまうと取り返しがつかない(ように感じてしまう)のかもしれません。
なので、本音を抑圧する、と言うか、悪意(?)が芽生えると「これは本音ではない!」と否定して押し込めてしまう→そのために宗教が必要だし、熱心になるんじゃないか、と。
これは海外経験が長い(在サモア日本企業も経験有の)サモア人の弁。
…その意味では、もしかすると日本より暮らしにくいかもしれません。
サバイイ当て逃げ事件
以前、サバイイに行った際に「驚愕の事態が判明&発生」なんて書きましたが。
ようやく気持ちも落ち着いてきたので、今更ながら書こうと思います。
ざっくり言うと…
・サバイイの奥地Falealupoのビーチファレに泊まりました
・朝起きたら、サモア人の車が我々のレンタカーに突っ込んでました
・犯人は「オレは悪くない」って言って逃げました
・警察はまったく頼りになりませんでした
です。
↓幸いにも自走できる程度でした。が、レンタカーだし…。
聞いた話や、車輪の跡などから判断すると…
・明け方、車がビーチファレの敷地に侵入
・波打ち際まで行くも、さすがにヤバいと思ったのか戻ることに
・そのまま勢いよく、まっすぐバック!
・輪留め代わりのタイヤを乗り越え、看板をなぎ倒し…レンタカーに激突!
・そのまま砂浜にスタック
です。
↓右回りで波打ち際へ。そしてまっすぐバックして、我々のレンタカーへ。
↓看板などをなぎ倒してます。
で、もちろんドライバーもそこにいたので。
「名前と連絡先教えて」と。
「何で?」
「いや、これレンタカーだし、弁償してもらわないと」
「いやいや、これはアクシデントだ。誰も悪くない。しょうがないことだ」
「は?お前が酔っ払ってぶつけたんだろ?100%お前が悪いじゃん(酒くせーな)」
「お前は保険に入ってないのか?保険を使えばタダで直せるんだぜ?」
「マジで言ってんの?警察呼ぶよ?」
...こんな問答をしばらく続けましたが、埒が明かず。
レンタカー屋に電話して、犯人に代わりましたが
「車を借りたヤツは悪くない、オレが悪いんだ」と言うだけ。
「でもオレの名前も電話番号も教えない」と。
しばらく話す内に「必ず直してやるから心配するな。オレを信用しないのか?」なんて変わってきましたが、相変わらず名前や連絡先は言わず。
どうしようもないので、警察に電話しました。
が、何度かけても繋がらない!
ようやく繋がったと思ったら。
「車が故障してて行けない」とか「ガソリンがない」とか。
絶っっっ対ウソです。
朝早くからFalealupo(奥地)まで来たくないだけです。
そうこうしている内に、スタックから抜け出し、逃げてしまいました...。
ファレの経営者曰く、多分Falealupoのマタイだろう、とのこと。
だから、周りでスタックから助けようとしてた人たちに聞いても、名前も何も教えず(言えず?)、犯人に意見もできず、「大丈夫だ、彼は悪い人じゃない」なんて言うだけだったんだろう、と。
...もうどうしようもありません。
ドライバーの顔や車のナンバーは写真に撮ったので、直接警察に行くことに。
が、我々が言わないと何をするわけでもなく、ただ話を聞くだけ。
なので、こちらがレポートを書かせて(ただのノートに汚い字で書きなぐる)。
写真も私が警察のPCを操作してコピーして。
で、「どうやって犯人を特定&確保するの?」と聞いたら。
「まずはアピアの本庁に聞かないと」だって...。orz
じゃ、さっさと連絡しろよ!!!怒
よくサモア人から「警察はまったく当てにならない」「警察は何もしてくれない。時間の無駄」なんてことを聞いてはいましたが。
まさかこれほどとは...。
(ほぼないだろうとは言え)空き巣や強盗、暴行などに遭ったらどうしたらいいんでしょう...。
後日談としては、犯人がちゃんとレンタカー屋に出向いて弁償したそうです。
おそらく酔いから醒めて、正気を取り戻したんでしょう。
ま、このあたりはサモアの狭さ=犯罪を起こしにくいが功を奏したんでしょうが。
酔うとダメ人間、しかも田舎の村のマタイ(誰も意見できない)、ダメな警察、とサモア人の悪いところが三拍子揃ってしまった出来事でした。
タクシー in サバイイ
サバイイで思い出した、もうひとつ。
サモアのタクシーは、ざっくり600m/WSTくらいですが。
サバイイには観光客価格が存在し、倍以上ふっかけてくることがかなり多いとか。
って言うか、協力隊員は住んでるのが明らかだし、サモア語も喋ってるのに。
騙せる訳ないんだけどな...。
ま、この考えのなさ?浅さ?も、サモア人の特徴のひとつかもしれません。
言われたまま払ってしまう観光客も良くありませんが、それを笠に着て、外国人と見るとボッタクる、という考えになってしまっているのは悲しいやら情けないやら。
サモアは国として観光に力を入れていこうとしているようですが。
フィジーみたいにメーター制にしたほうがいいのかも。
...って、本来サモア人はそんなキャラじゃないはずなので、とても悔しい気分です。
...他にももちろん悪いことはあって、書き出すとキリがないんですが。笑
基本的には「長所は短所」で、いいところが裏目に出ちゃってる、とも言えるかと。
正直、今まで行った国の中ではトップレベルに良い国民性だと感じています。
...いや、ホントに。笑