Notes in Apia

常夏の島サモアで暮らす、青年海外協力隊員の覚え書き

社会科見学

最近のサモアは、夜間・早朝など、雨が多くなってきました。

先週は昼間もスコール⇔快晴を繰り返す、本当に変な天気で。

サモア人も「こんなのおかしい」と言うくらい。

...ま、サモア人の言うことなので話半分としても。笑

やっぱりある程度は気候変動も生じているのかもしれません。

 

今日も朝は大雨で。

せっかくの週末なのに洗濯を見合わせました。

が、昼前にはすっかり晴れ、夕方からは社会科見学に行きました。

 

「社会科見学」と言っても、日本人会の数少ないイベントで。

日本のODAで行っている、アピア港の拡張工事を見よう!と。

 

ふだんのイベントは青年海外協力隊員ばかりですが...

今日はシニアボランティアや専門家、その家族などを中心に40~50人?

隊員以外にこんなに日本人がいるんだ!?というくらい。笑

 

元々、NZの占領時代に作られた木造桟橋から始まったアピア港ですが。

今ではサモア唯一の(貨物の)玄関口として、輸入のほぼすべてを賄っています。

そもそも飲食物から日用品から工事資材から...本当に何から何まで輸入に頼っているサモアなのに、国際港はここひとつだけ。

以前もチラッと書きましたが、アピア港が閉じると本当に国が止まります

それくらい重要な港です。

 

その港が、コンクリートで整備されて早50年超。

20~30年前にも日本の援助で拡幅したり修繕していますが、設計?規格?が古いので、クィーンエリザベス号クラスが来ると、実は留まれません。

 

このブログにも何度か「大型客船が来た!」と書いていますが、船の全長に対して桟橋が半分くらいしかないんです。

だから半分だけ接岸する形で、しかも係留している間は他の船が留まれない...。笑

さらに言えば、大型船が入出港する際のタグボート2隻も半分壊れてるんだとか。

 ※ちなみにこのタグボートも日本からの援助。

 

そんな状況の中、2012年のサイクロンで本格的な被害があり。

サモア政府から援助の依頼があったそうです。

当時は日本企業のヤザキさんも稼動していて、材料も入らず、完成品も出荷できず、ということで本当に困ったそうです。

で、他にも偶然が重なり、35億円という空前絶後の援助が決まった、と。

しかもわずか3年後には開始するなんて異例中の異例の早さだそうです。

 ※私の伝聞なので多少誤りがあるかもしれませんが、当時の大使の話なので、大枠はきっと本当です。

詳しくはコチラ↓

(ODA)サモア「アピア港安全向上計画」 | 外務省

港湾近代化工事始まる(サモア) : 国際機関 太平洋諸島センター

 

工事の内容は、

 現状:一辺が140m足らずの「く」の字の桟橋 を

 完成:余白の三角部分を拡張し、まっすぐな300m超の桟橋 に

ということです。 

↑これが... ↓こうなる(黄色部分を拡張)。

f:id:jptzws:20171007174850j:plain

 

水深11mの海底に杭を打ち込み、その上にコンクリートで床を作るそうですが。

直径70~90cm、長さ40m超の杭を350本以上打つとのこと。驚

それがどのくらいの規模だかピンときませんが。

港湾の拡張工事というと、ふつうは20~30本くらいなんだそうです。

300本を超えるなんて工事は、羽田のE滑走路以来!なんて言ってました。

...ま、それでもいまいちピンときませんが。

なんだかスゴそうだな、ってことは分かります。笑

 

杭打ちも、どうやるのかと思ったら。

8tの錘を1mの高さから打ちつけるハンマーでガンガン叩くんだとか。

意外にも、すごくシンプルな力技でした。

 

他にも

 コンクリートの梁や床は別で作って載せていく とか

 杭の錆対策に、後からFRPのカバーを潜水士が付けていく(!) とか

 海洋土木は雨より波風のほうが問題だ とか

面白い話をたくさん聞かせていただきました。

f:id:jptzws:20171007175101j:plain

↑奥は杭を打ったとこ。

その上に梁を置いて(中間)、手前に重なっているコンクリートの床を載せる、と。

さらに25cm厚のコンクリート層を重ねるんだとか。

 

世界各国で土木工事をされている方々なので、

サモアは人口が少ないから、作業員を集めることからして大変」

など、他の国との比較も興味深く。

わずか2時間足らずでしたが、非常~に勉強になる有意義な時間でした。

 

男性は一様にテンションが上がり、面白い!を連発していましたが...

女性はどう感じたかは分かりません。汗

 

が、やっぱり専門家の分かりやすい解説付で見学するのは楽しいですよね。

きっと男女関係なく、楽しんだんじゃないかと。

小中学校の社会科見学を思い出し、ちょっとノスタルジックな感じも。笑